David S. Salsburg さんの Errors, Blunders, and Lies: How to Tell the Difference を聞いた。統計を使うにあたって起こり得る「誤り」を Errors, Blunders, Lies の3つに分けてそれぞれの具体例を挙げていくという本だった。
統計が役に立つ事例がたくさん載っていて、統計学を勉強するにあたっての補助教材にピッタリの本だと思う。内容も面白いので普通に読み物としても良い。各章の最後にサマリーがあるのも良かった。ほとんどが知らない事例で興味深かった。最近調べたポアソン分布でが出てきて、それもレーズンパンの例が出てきた。まあポアソン分布の例としてはよく使われるものではあるのだが。
以前見た 3blue1brown の Grant Sanderson さんの Math's pedagogical curse のレクチャーがかなり良かったのだが、その中で言ってたChecks for pedagogy の2つ目が
Are new abstractions preceded with concrete examples?
というものだった。この本は統計学における concrete examples を凝縮したような本だった。
オーディオブックとして聞くにあたっては数式を読み上げられるのでそれを頭の中で構築するのが難度が高かった。というか無理だった。やはり数式を視覚的に確認する必要がある。
気になった用語
Bonferroni correction
多重比較問題の対処法はいくつかあるらしく、その一つ。大学にいたときに知人が研究で使うと言っていた Tukey's range test というのは聞いたことがあって、 Bonferroni correction との違いを軽く調べたがよくわからなかった。今後の僕の人生において多重比較検定を行う機会は無い気がするので理解するのを一旦切り上げる。ちなみに今年の3月に多重比較関連で「ヒト臨床試験有意差保証プラン(現:ヒト臨床試験安心プラン)」というのが話題になっていた。
Randomized response
初めて知った。中学数学の知識で理解できる超シンプルな原理でありながらわりとトリッキーな調査法で面白い。高度なことをすればベイズ推論につながるらしい。生物の個体数推定にベイズ推定が使われていたりと、ベイズ統計学の実例を見るたびにちゃんと勉強したいとは思うもののやはり実生活で使う予定がないので優先度は低くなってしまう。