池田真朗さんの「民法はおもしろい」(2012年出版)という本を読み終えた。去年の6月くらいに買って気が向いたときに読むというのを繰り返した結果1年くらいかかった。最初は音声読み上げ機能を使って聞こうと思い Google Play Books で購入したのだが、Read Aloud で読み上げさせたところ「たみほうはおもしろい」という出落ちっぷりで、それ以降も看過できない漢字の読み間違いが多くて結局すぐ活字で読むことになったのだった。しかし数日前にまた Read Aloud を試したところかなり精度が良くなっており、最後の方は聞くことができた(そしてタイトルを読ませたところ今度は正しく読めていた。)
本書は一貫して「市民」と民法の関わりを軸として書かれており、そのおかげで民法の概要や具体例が自然と頭に入ってくる。民法の全体像を見て、専門的過ぎない程度に具体的な法令や条文を紹介し、最後に民法やそれに関わる思想などについて触れており、私のような「民法に関心があるけどがっつり勉強したいわけではないし、かといってウェブの短い記事では物足りないあるいは前提知識がなさ過ぎて理解できない」という人にちょうどよい本だった。
融資の契約とか賃貸契約とか、いろんなものに関するルールが「民法」という法律で定められていて Code smells の Bloaters っぽいなあと思った。おそらくコードと向き合ったことがある人なら誰しも考えるありふれた発想だと思うのだが、法律は巨大な仕様書なのだと感じる。(「法律 仕様書」とかで検索しても業務委託とかの話ばかりで見つからないが、絶対誰か他の人も同じことを言っているはず。)で、時代が進むとともにレガシー仕様がぽこぽこ発生して判例というモンキーパッチでどうにか持ちこたえているみたいな。