先月はオーディオブックをお休みして、ポッドキャストを新たに開拓しつつ溜まっていたものを聞いていた。
開拓したもの
- JS Party
- The Changelog
- The Stack Overflow Podcast
- Syntax.fm
溜まっていたもの
- The Audio Long Read podcast
- 真空ジェシカのラジオ父ちゃん
以下は7月とここ数日で聞いたオーディオブック。
諸富祥彦(2013)「教師の資質 できる教師とダメ教師は何が違うのか?」
小中学校の教師の大変さが伝わってくる本。教師が直面する様々な問題を調査結果や教育カウンセラーである作者が実際に受けた相談を例に挙げながら紹介していて面白かった。内容が良かったので作者について調べたのだが、本人のホームページの雰囲気が本のイメージとあまりに違っていたので同姓同名の別人を疑ったが著書一覧に本書がちゃんとあった。
気になった用語
- Q-Uアセスメント
- 大学院修学休業制度
Geoffrey G Parker, Marshall W Van Alstyne, Sangeet Paul Choudary (2016) 「Platform Revolution」
たしか Nick Srnicek の Platform Capitalism (未読)を wishlist に入れたときに関連する書籍として出てきたので wishlist に入れた気がする。成功しているプラットフォーム企業を事例として、それらがなぜ成功したかを考察しているのだが、その内容は「ユーザーが利用するにあたっての障壁が低かったから」とか浅めのもが多くて微妙だった。医療と教育で今後プラットフォームをうまく活用できたら良いねという話は共感した。
清水晶子(2022)「フェミニズムってなんですか? 」
女性の権利を入口として社会制度、慣習や偏見、人権など様々な問題について考えていく本。多岐にわたる論点がそれぞれ良い感じにまとまっていた。
気になった用語
- インターセクショナリティ
- ポーランドの人工妊娠中絶
- 胎児条項
橘玲(2022)「バカと無知」
心理学の研究を紹介して自説を展開していく本。僕が本の中で引用されてる論文の著者だったら悲しんでいたと思う。終始苦い顔をして聞いていたため美顔になった。
森口佑介(2021)「子どもの発達格差」
発達心理学の研究者が書いた堅実な本。こういう本が好きだ。貧困や家庭環境が前頭前野の発達に影響するというのが一つ大きなトピックで、悲しい気分になる。この本を面白く思った人は松岡亮二さんの「教育格差」も同様に悲しい気分になれるし絶対好きだと思う。
気になった用語
- 実行機能
ユヴァル・ノア・ハラリ 著、柴田裕之 訳(2016) 「サピエンス全史」
原書は 2011 年に出版されている。進化心理学と社会構築主義をミックスしたみたいな内容だった。anecdotal な歴史的エビデンスをベースに自説を混ぜ込んでいる箇所が多かった。それと全体的に問題の切り分けができてなくないか?と思った。歴史に関する情報が多くてそのへんは面白かった。
資本主義の話の前半部は現代の経済システムがなんだかんだ機能している不思議を改めて感じさせてくれる。かなり複雑な仕組みでも社会制度に埋め込むことで各人がその仕組みを理解してなくても全体として機能するのはすごい。それが悪い方向に進むとバブルとその崩壊とかが起こるのだが。
資本主義の話の後半部では貨幣と信用とかの話から流れるようにコミュニティ vs 国家と市場(&個人主義)という話が始まって、あぁ...となった。
いろんな問題をいくつかの言葉(進化とか資本主義とか)に集約させて社会の複雑な事象をまとめ上げたぜ!みたいな文献を見ると、いやいや笑、と思うのだが世間を見渡すと深く感心してる人もいて、この感覚の違いは何に起因するのだろうかと考えてしまう。