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読み物:数のミス

Matt Parker さんによる、「Humble Pi」という本を読み終えた。Matt Parker さんがやっている Stand-up Maths チャンネルは私が最もよく見ている YouTube チャンネルの一つだ。 Interesting と Funny の両方の面白さを兼ね備えていてとても良い。本書は工学、医学、公務など様々な場面で数学(数字)の扱いが想定通りに行かずに起きたハプニングについて書かれている。知らない事例ばかりで大変面白かった。

電子書籍で読んだのだが、ページ数が逆転していて巻末直前で0ページ目になってオーバーフローして4294967295 (=2321=2^{32}-1) ページ目になるようになっていたりと芸が細かい。 Amazon の Kindle 担当部署や出版社の電子化担当部署で相当な残業を生んだのではないかと思う。

本の後半で Matt Parker さんは、ヒューマンエラーは必ず起こるもので、ミスを個人の責任とするのではなくそもそもミスが起こらないような制度設計を頑張って作りましょうと言っている。ヒューマンエラーを人一倍起こしやすい自分としては、世の中がこの方向にどんどん進んでほしいと思う。世界は fool に厳しすぎる。

13/314ページで、 Harold Thimbleby さんの指摘をこう解説している。

He points out that, in pharmacy, it is illegal to give a patient the wrong drug. This does not promote an environment of admitting and addressing mistakes. Those who do make slip-ups and admit it might lose their jobs. This survivor bias means that the next generation of pharmacy students are taught by pharmacists who have "never made mistakes." It perpetuates an impression that mistakes are infrequent events. But we all make mistakes.

とても共感した。